むやみに怖がらない陣痛促進剤。事故原因の多くは「不適切使用」にあり

陣痛促進剤で事故が起こったらどうしよう。
出産で陣痛促進剤を使うかもしれず、事故が怖くて仕方ないです。

そんな妊婦さんへ。

本記事では、以下の内容についてお話します。

  1. 陣痛促進剤は「ただの危険な薬」ではない
  2. 事故原因の多くは「不適切使用」にあり
  3. 事故が怖いなら、まずお医者さんに質問すべし

ニュースで陣痛促進剤による死亡事故などが取り上げられていることもあり、「陣痛促進剤=恐ろしい薬」というイメージがありますよね。

しかも陣痛促進剤のリスクと言えば、子宮破裂や胎児の心拍低下など、聞くだけでも怖いものばかり。

陣痛促進剤のリスクとは?【主な3つのリスクを解説】

「陣痛促進剤で事故が起こったら…」と不安になるのは、当然です。私もそうでした。

でもこの記事を読めば、陣痛促進剤がただ危険なだけの薬ではないことがわかり、恐怖心が少し和らぐかと思います。また「事故を防ぐためにあなた自身がやるべきこと」も明確になるので、ぜひご覧ください。

1.陣痛促進剤は「ただの危険な薬」ではない

薬

まず陣痛促進剤そのものは、「ただの危険な薬」というわけではありません。

ケースによっては、妊婦さんとお腹の中の赤ちゃんを助ける薬になるからです。

そのケースというのは、

  • 陣痛が来なくて正産期を過ぎそうなとき
  • 微弱陣痛でお産が長引き、母子ともに体力が持ちそうにない時

…などなど、他にもたくさんあります。

上記のようなケースに陣痛促進剤を使うことで、お産が進み、結果として母子の健康を守ることにつながります。

もし陣痛促進剤がなければ、上記のようなケースに対応できず、妊婦さんもお腹の中の赤ちゃんも危険な状態になってしまいますよね。

帝王切開という手段もありますが、帝王切開はお腹を切る手術なので、それこそむやみにやるものではないですからね。

そう考えると、たとえば上記ケースのような「本当に陣痛促進剤が必要な状況」であるにもかかわらず、ただ怖いというだけで陣痛促進剤の使用を拒否するといった行為は、逆に危険を招くことにつながります。

陣痛促進剤は私達臨床産婦人科医にとっては極めて大切な薬剤であり、これ等の出現により、分娩を適切にコントロールすることにより、周産期医学は格段と進歩し、周産期母子保健指標は先進国の中でも優れたものになりました。とくに周産期死亡率、妊産婦死亡率は著明に減少したことはいうまでもありません。

引用元:日母産婦人科大会より-陣痛促進剤について考える

とはいえ、医学的に使う必要もないのに、むやみやたらと使うような薬でないことは確かです。

2.陣痛促進剤の事故原因の多くは「不適切使用」にあり

注意

実は陣痛促進剤による事故というのは、病院側の「不適切使用」が原因であることが多いんです。

実際、事故があった病院の内の多くが、ガイドラインに沿わない使い方をしていたことがわかっているんですよ。

ガイドラインというのは、陣痛促進剤を使うにあたって定められたルールや手順のこと。日本産婦人科学会が作っています。

具体的には、

  • 規定を超える量の陣痛促進剤が投与されていた
  • 投与のペースが速すぎた
  • 投与中の母子状態のチェックを怠っていた

…といったことが原因で、事故が起こっているのです。

産科医療補償制度は同機構が運営し、脳性まひになった子供について過失の有無にかかわらず補償金を支払う。2009年に始まり、12年末までに465件を審査、うち425件の補償が決まった。今回は188件の分析結果をまとめ、公表した。
同機構によると、出産時の何らかの事故によって子供が脳性まひになった188件のうち、陣痛促進剤が使われていたのは56件。うち77%に当たる43件で、日本産科婦人科学会が設けた指針に基づく用法などの基準を逸脱していた。

引用元:日本経済新聞

10年近く前の話とは言え、43件ものケースでルールが守られていなかったというのは、恐ろしい話ですね。

ただ逆に言えば、ちゃんとした使い方をなされていれば、陣痛促進剤による事故の確率はかなり低くなってくるということです。

再発防止の報告書からわかることは、産婦人科学会の診療ガイドラインがきちんと守られた事例では、ほとんど、重度の脳性麻痺になる事故が起こっていないということです。それだけに、前篇でお話をしたように、子宮破裂を起こさないためにも、妊婦やその家族は陣痛促進剤についてしっかりと知っておくことが必要です。

引用元:WEDGE Infinity

3.陣痛促進剤による事故が怖いなら、まずお医者さんに質問すべし

病院

さて、これまでのお話を踏まえると、陣痛促進剤の使用に対して不安がある際は、納得がいくまで病院側に質問することが大切です。

具体的には、以下のことをお医者さんに質問してみましょう。

  • どうして使う必要があるのか
  • ちゃんとガイドラインを守って使ってくれるのか
  • 投与中は、母子の状態を常にチェックし続けてくれるのか

上記に対して丁寧でしっかりとした答えが返ってくれば、そこまで過剰に心配する必要はないと思われます。あなた自身の恐怖心も、だいぶ和らぐはずです。

お医者さんに対しても、「私は陣痛促進剤のリスクについてしっかりわかってるんだから、あなたはガイドラインに沿った適切な使い方をしてね」というアピールになりますよ。

こっちが素人だと思って適当なことをしないよう、釘をさせるってことですね。

医療事故を起こすのは、薬ではなく人間です。

だからこそ事故を防ぐためには、自分自身がしっかりとした知識を身に着けて、病院側をチェックするくらいの姿勢でいることが大切です。

4.まとめ:陣痛促進剤による事故を、過剰に恐れる必要はありません

妊婦さん

これまでのお話をまとめます。

  • 陣痛促進剤は、ケースによっては妊婦さんとお腹の中の赤ちゃんを助ける薬
  • 陣痛促進剤が本当に必要な状況ならば、使用拒否は逆に危険を招く
  • 陣痛促進剤による事故原因の多くは、病院側の「不適切使用」にあった
  • 陣痛促進剤の使用について不安があるときは、納得いくまでお医者さんに質問しよう

以上、アケチ(@akechi_kodomo)でした。

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この記事を書いた人

アケチ

アケチ

2歳男児を育児中のヘルスケアプランナー。

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