妊娠中の便秘解消法を知りたい。
妊娠してから、とにかく便秘がひどいんです。
便秘薬に頼らない解消法を、教えてください。
そんな妊婦さんへ。
この記事では、以下の内容についてお話します。
- 妊婦さんが便秘になりやすい原因
- 妊娠中の便秘解消法20箇条
私自身、妊娠中ひどい便秘になったことがありましたが、この記事でご紹介する便秘対策をのきなみ試したところ、わずか1週間ほどで便秘を解消することができました。
妊娠中の便秘は頑固ですが、やるべきことをしっかりやれば、お通じはある程度コントロールできるようになります。
この記事を読んで、今日からさっそく便秘解消に向けて動き出しましょう。
■妊婦さんが便秘になりやすい原因

まずは妊婦さんが便秘になりやすい原因を理解しましょう。そうすることで、便秘解消のためにやるべきことが明白になります。
「御託はいいから早く便秘解消法を教えて」という方は、■妊娠中の便秘解消法20箇条へどうぞ。
さて、妊婦さんが便秘になりやすい原因は主に以下の7つです。
- 黄体ホルモン「プロゲステロン」の分泌増加
- 自律神経の乱れ
- 生活リズムの乱れ
- 水分不足
- 食べる量が少ない
- 腸内環境の乱れ
- 運動不足
では1つ1つについて、簡単に解説していきます。
1.黄体ホルモン「プロゲステロン」の分泌増加
妊婦さんの便秘の大きな原因は、妊娠中に分泌が増える黄体ホルモン「プロゲステロン」の存在です。
プロゲステロンは妊娠継続のために必要不可欠なホルモンですが、一方で腸のぜん動運動を弱める作用を持っているからです。
腸のぜん動運動が弱まれば、便が不要に長く腸の中に留まることになり、その間に便の水分がどんどん抜けていってカチコチになってしまい、便秘となります。
2.自律神経の乱れ
妊娠すると疲れや不安などから自律神経が乱れやすくなりますが、これが便秘に直結します。
自律神経が乱れると、睡眠中の腸のぜん動運動がおろそかになるからです。
自律神経には「交感神経」(“活動”の神経)と「副交感神経」(“リラックス”の神経)があり、腸のぜん動運動をつかさどっているのは副交感神経です。
この副交感神経が睡眠時に活性化されていれば、眠っている間に腸が便を出口まで運んでくれて、朝には排便の準備がととのいます。
しかし自律神経が乱れると、睡眠時に副交感神経が活性化されず、排便のリズムが狂うため、便秘につながります。
3.生活リズムの乱れ
妊娠中は体調の変動が激しいため、1日中寝ていたり食事時間もまばらだったりと生活リズムが崩れがちですが、これも便秘の原因になります。
腸が「どのタイミングで便を出すべきか」判断できず、排便の機会を逃しやすくなるからです。
腸は決まったリズムに忠実な臓器であり、変則的なリズムが苦手です。
よって生活リズムが不規則だとお通じが定期的にこなくなってしまい、便秘になります。
4.水分不足
「つわりで食事がとれない」「頻尿」などの理由から、妊娠中は水分不足になりがちですが、これも便秘につながります。
水分不足の体内で作られる便は、硬くなるからです。
妊婦さんは1日約2リットルの水分摂取が必要であり、これは一般的な成人女性より多めです。
というのも妊娠中は体温が高くなって汗をかきやすくなるうえに、赤ちゃんを守るための羊水にも水分が使われるからです。
しかし実情は、必要量の水分がとれていない妊婦さんが多いのです。
5.食べる量が少ない
特に妊娠初期などは、つわりが原因で食事量が少なくなりがちですが、これも便秘を引き起こします。
便は、その一部が食べ物のカス(=食物繊維)でできているからです。
食べる量が少なければ、便の元となる食べ物のカスも少なくなり、必然的に便は小さくなります。
便はある程度の大きさがないと、腸のぜん動運動が活発にならないので、便秘につながります。
6.腸内環境の乱れ
これも妊娠初期によくあることですが、つわりなどで食べるものが偏りすぎて、腸にとって大切な栄養素――特に乳酸菌などをとる量が減ると、便秘になりやすくなります。
腸の善玉菌が減り、腸内環境が乱れるからです。
善玉菌は腸内環境をととのえ、ぜん動運動を活性化させる役割を担っているため、善玉菌の減少は便秘に直結してしまいます。
7.運動不足
妊娠中は運動不足になりがちですが、これも便秘の一因となります。
日中の運動不足は、自律神経の乱れに直結するからです。
先に述べたように、睡眠時は副交感神経が活性化されるべきですが、これを実現するためには「日中は体を動かして交感神経を活性化させておく」ことが重要です。
しかし妊娠中は日中でも安静にしがちなので、結果として睡眠時に副交感神経を活性化させにくくなり、便秘につながります。
■妊娠中の便秘解消法20箇条

結論としては、以下のことを実現できれば妊娠中の便秘は解消されます。
- 自律神経のバランスをととのえる
- 腸にあなたの生活リズムを刻み込ませる
- 水分をしっかり含んだ、柔らかく大きな便を作る
- しかるべきタイミングで腸を刺激し、排便を促す
そして上記を実現するための具体的な方法が、以下の20箇条です。さっそく実践していきましょう。
1.朝起きたらコップ1杯の水を飲む
朝起きたらまず、コップ1杯の水やお茶を飲みましょう。
朝の空腹時に水分をとることによって、すぐさま腸に刺激を与えることができ、腸が排便に向けて動き始めてくれます。
冷たい水でも温かい水でも、温度はお好みで構いません。
2.1さじのオリーブオイルも飲む
起床後は水だけでなく、スプーン1杯のオリーブオイルも飲みましょう。
オリーブオイルに多く含まれる「オレイン酸」が腸のぜん動運動を活性化させるとともに、潤滑油となってスムーズな排便を促してくれます。
しかもオレイン酸は小腸でほぼ吸収されずにそのまま大腸に運ばれるため、即効性も高いです。
辛みがある味なので、苦手であればヨーグルトなどに混ぜて摂りましょう。エキストラバージンオリーブオイルが飲用に適しています。
3.朝食は必ずとる
朝食は必ずとりましょう。
朝食を食べることで腸へガツンと刺激を与えることができ、排便のためのより本格的なぜん動運動が始まります。
つわりで食欲がない時でも、少しで良いので何か口に入れてください。
水とオリーブオイルによってウォーミングアップを始めた腸に、さらなる活動を促すためには、朝食は欠かせません。
4.朝食後はゆったりする
朝食後は少なくとも30分ほど、ゆったり過ごしてください。
もちろん多少の家事などしても構いませんが、「いつでも余裕をもってトイレにいける」という状態でいましょう。
ある程度腸内環境がととのい、生活リズムも安定してくれば、お通じは毎朝食後にやってくるようになるからです。
しかしこのタイミングで時間に追われていたりすると、交感神経の方が優位になってしまってお通じが来なくなり、大事な排便チャンスを逃してしまいます。
5.起床・食事・就寝時間をそろえる
毎日の起床時間と食事の時間・就寝時間は、できるだけそろえましょう。
規則正しい生活リズムを送っていれば、腸もそのリズムに呼応し、決まった時間にしっかりとぜん動運動をしてくれるようになるからです。
朝食後ゆったり過ごすことを考えれば、朝は余裕を持って早めの時間に起きるのがおすすめです。
そして副交感神経が最も活性化し始める0時頃までには、眠りにつきましょう。
6.日中はこまめに水分をとる
妊娠中は、こまめな水分補給を心がけましょう。
定期的に水分を腸に送り込むことで、硬い便を作らないようにするためです。
つい忘れがちになるようであれば、「毎時〇分に水を飲む」「トイレに行くたびに水を飲む」といったように、自分なりの水分補給ルールを決めておきましょう。
7.食べなさすぎなら、少しでも食べる
つわりで食欲がない時でも、1日トータルでそれなりの量を食べるよう努めてみましょう。
ある程度の大きさの便を作るためです。
1度にほんの少量しか食べられないのであれば、分食でも構いません。
朝食・ブランチ・昼食・おやつ・夕食・夜食といったように、食事回数を増やすなど工夫してみましょう。
8.食べすぎなら、抑える
もし「ものすごく食べているのに便秘だ」というのであれば、逆に食事量を抑えてください。
食べ過ぎで胃腸が疲れ切っている可能性があるからです。
胃腸は酷使され続けると、動かなくなります。
実際、私も昔「食べ過ぎが原因の便秘」になったことがあり、お医者さんから指示を受けて食事量を半分にしたところ、あっという間に便秘が解消されたことがあります。
妊娠中は食欲が爆発することがありますが、便秘を治したいなら食べ過ぎないようにしてください。
9.食物繊維は【不溶性:水溶性=2:1】
食物繊維は便の元となるため、必ずとりましょう。
その際、大体の感覚で構わないので【不溶性食物繊維:水溶性食物繊維=2:1】の割合でとるよう心がけてください。
摂取バランスが悪いと、余計にひどい便秘や下痢につながる可能性があるからです。
不溶性食物繊維の役割は、便をかさましさせて腸を刺激すること。
水溶性食物繊維の役割は、便をやわらかくすること。
この2つが程よく混在することで「出やすい便」が作られます。
・不溶性食物繊維が多い食べ物:玄米、ライムギ、小麦、大豆、えんどう豆、いんげん豆、枝豆、さつまいも、里芋、ブロッコリー、オクラ、かぼちゃ、とうもろこし、きくらげ、アボカド、切り干し大根
・水溶性食物繊維が多い食べ物:リンゴ、イチゴ、かんきつ類、バナナ、わかめ、昆布、モズク、ひじき、しいたけ、えのきだけ、キャベツ、白菜、もやし、オクラ、大麦、押麦、寒天、こんにゃく
10.いろいろな種類の発酵食品をとる
腸内の善玉菌を増やすべく、発酵食品をとりましょう。その際、なるべくいろいろな種類の発酵食品をとるようにしてください。
善玉菌には多くの種類があり、それぞれが違うはたらきを持っているからです。
多様な菌同士が協力し合うことで腸内環境がととのえられ、便秘解消につながります。
また、善玉菌のエサとなるオリゴ糖も同時にとるとより効果的です。
・発酵食品:チーズ、ヨーグルト、キムチ、納豆、味噌、漬物
・オリゴ糖が多い食べ物:玉ねぎ、ごぼう、ねぎ、にんにく、アスパラガス、バナナ、大豆
11.適度に脂質もとる
バターや油などの脂質も、適度にとりましょう。
脂質は便が腸を通る際の潤滑油となり、スムーズな排便を促してくれるからです。
起床後1さじのオリーブオイルだけでなく、毎食少しずつでもとるようにしておけば、やわらかく滑りの良い便を保っておくことができます。
12.日中は適度に活動・運動する
妊娠中でも、日中は無理のない範囲で活動・運動しましょう。
日中に交感神経を活性化させておけば、夜の副交感神経モードへの切り替えがスムーズになるからです。
運動といっても、ウォーキングやストレッチなどで十分です。
余裕があれば、マタニティヨガ・マタニティスイミングなども良い運動になります。
なお運動だけでなく、やるべきことや面倒なタスクなど、集中力を要することも日中に済ませておきましょう。
13.夜はとことんリラックスする
夜になったら面倒ごとは手放し、運動もやめて、完全リラックスモードになりましょう。
そうすることで副交感神経がゆっくりと活性化し始め、睡眠時にはその働きをピークまで持っていくことができます。
副交感神経を活性化させるための具体的なリラックス方法は、以下の通りです。
- ゆったりめの音楽を聴く
- のんびり座って楽しめる趣味を行う
- 口角を常に上げておく
- 半身浴などで体を温める
14.寝る前に「4秒吸って8秒吐く」の腹式呼吸
夜寝る前に、お布団の中で「鼻から4秒吸って口から8秒吐く」の腹式呼吸を行ってください。
腹式呼吸とは、吸うときにお腹が膨らみ吐くときにお腹がへこむ呼吸法のこと。
通常の呼吸より多くの酸素を取り込めるので、血流が良くなって副交感神経が活性化されます。
腹式呼吸のコツは以下の通りです。
- 吐くときは、とことん吐ききる
- 吸うときにお腹を膨らませようと意識すると苦しくなりがち。「息を吸いながら横隔膜(肺の下にある膜)を下方向に押し下げ、肺を広げる」という意識で吸う
15.睡眠環境は万全に
質の良い睡眠をキープするために、睡眠環境は万全にととのえておきましょう。
眠りが浅ければ副交感神経が十分に活性化されず、腸のぜん動運動がおろそかになるからです。
質の良い睡眠を保つ具体的な方法は、以下の通りです。
- 部屋を静かに&真っ暗にして眠る
- 寝室の温度や湿度を適切に
- 枕の高さや寝具の固さを自身に合ったものにする
16.便秘解消用のお茶やオリゴ糖を飲む
つわりでまともな食事がとれないときは、便秘解消用のお茶やオリゴ糖を活用しましょう。
便秘解消用のお茶やオリゴ糖には、腸に良い成分がふんだんに入っているからです。
効率的に腸内環境をととのえることができます。
妊婦さん向けのお茶・オリゴ糖であれば、下剤成分なども入っておらず安心です。
詳しくは以下記事にまとめておりますのでご覧ください。
・妊婦さんの便秘におすすめのお茶3選【比較しやすくまとめました】
・妊婦さんの便秘におすすめのオリゴ糖2選【返金保証やお試しセット有】
17.ストレッチをする
安定期に入ったら、便秘解消のためのストレッチをしましょう。
骨盤まわりの筋肉を伸ばしたり、腸を優しく刺激したりするストレッチを行えば、ぜん動運動が活発になります。
具体的なストレッチ方法については、妊婦さん向けの便秘解消ストレッチ5選【画像あり】 の記事をご覧ください。
18.マッサージをする
安定期に入ったら、便秘解消のためのマッサージをとりいれましょう。
おへそ周りや腰付近をさするマッサージをすれば、腸が温まり刺激されて、ぜん動運動が活発になります。
妊婦さん向けのマッサージのやり方については、妊婦さんの便秘に効く2種類のマッサージのやり方【画像あり】 の記事をご覧ください。
19.ツボ押しをする
便秘に効くツボを押してみましょう。
合谷・神門・支溝・湧泉・三陰交・足三里などのツボは、腸の機能を高める効果があるため、便秘解消につながります。
なおこれらのツボは、妊婦さんでも安心して押せます。
上記のツボの詳しい場所や押し方については、妊婦さんの便秘に効くツボ6選【画像付きでわかりやすく解説】 の記事をご覧ください。
20.つま先立ちをする
安定期に入ったら、つま先立ちトレーニングをとりいれてみましょう。
つま先立ちをすることで体全体の血行が良くなって、腸にもしっかりと血がめぐり、ぜん動運動を活発化させることができます。
つま先立ちの具体的なやり方については、妊婦さんの便秘に「つま先立ち」が有効な理由【具体的なやり方もご紹介】 の記事をご覧ください。
■妊娠中の便秘解消法まとめ

最後に、妊娠中の便秘解消法についておさらいしましょう。
- 朝起きたらコップ1杯の水を飲む
- 1さじのオリーブオイルも飲む
- 朝食は必ずとる
- 朝食後はゆったりする
- 起床・食事・就寝時間をそろえる
- 日中はこまめに水分をとる
- 食べなさすぎなら、少しでも食べる
- 食べすぎなら、抑える
- 食物繊維は【不溶性:水溶性=2:1】
- いろいろな種類の発酵食品をとる
- 適度に脂質もとる
- 日中は適度に活動・運動する
- 夜はとことんリラックスする
- 寝る前に「4秒吸って8秒吐く」の腹式呼吸
- 睡眠環境は万全に
- 便秘解消用のお茶やオリゴ糖を飲む
- ストレッチをする
- マッサージをする
- ツボ押しをする
- つま先立ちをする
上記を徹底すれば、少しずつ便が出るようになり、ゆくゆくはほぼ毎日決まった時間に出るようになるはずです。
これを機に生活習慣を見直し、腸内環境をととのえて、つらい便秘とサヨナラしましょう。
以上、アケチ(@akechi_kodomo)でした。
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